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タイトル: 「中小企業の海外進出の課題と施策を考える―県内企業へのインタビューおよび社会人大学院生への講義・アンケートを通して―」
タイトル(別表記): Study on the current status and issues of overseas expansion of SMEs-Through an interview survey with companies and government agencies in Nagasaki-
著者名: 江崎, 康弘
著者名(別表記): EZAKI, Yasuhiro
発行日: 2021年3月31日
出版者: 長崎県立大学
雑誌名: 学長裁量研究成果報告書
巻: 令和2年度
号: 佐世保校
開始ページ: 14
終了ページ: 19
抄録:  ユニクロの柳井正会長兼社長によれば、「コロナ禍で世界は分裂するとの指摘も多いが、世界はますます相互につながっていると感じている。世界中で多くのユニクロ店が閉店したが、 国内市場だけで事業を継続することはリスクが高い。アジアがコロナ後の世界成長の中心地になり、この市場へ参入しなければ事業は繁栄しない。また、社会貢献をしない企業は成功しない。社会で役立つ企業は、社会で最も利用される企業である。成功するためには、日本だけに集中することせず世界に出て行かなければならない。」と述べている。コロナ問題を受け、企業はグローバル・サプライチェーンのリスクを強く意識したと考えられる。工場が閉鎖に追い込まれるなど、海外での生産活動のリスクも強く感じた企業は、生産拠点を国内へ移す「国内回帰」、または、部材調達先を国内企業にシフトさせる動きが強まっている 。 しかし、保護主義の高まりや国際分業体制が大きく見直され、自国内で完結する生産体制が形成されれば、グローバル化の流れに逆行するものであり、米中貿易摩擦で明らかになった政策が世界に一気に拡散するのではないだろうか。コロナ問題を機に、世界経済の効率とダイナミズムが、相当失われてしまうリスクもあるであろう。グローバル化の流れが大きく逆行しないようにするには、各国共に国際協調と多国間主義、そして、世界は新型コロナウイルスという「共通の強敵」と奮闘しており、国際協調の重要性がより意識され、経済面でも各国の間の連携がむしろ強化される素地も十分にあるのではないかと筆者は考える。強い逆境の下で各国が、国際協調、多国間主義、自由貿易をより推進する方向に動けば、コロナ後の世界経済がそれ以前よりも強くなり、経済のグローバル化は継続するという明るい展望を期待したい。 国内市場は、少子高齢化が加速するなか、総人口が減少するとともに生産年齢人口も減少に向かっている。2010年の全国総人口12,806万人が2060年には8674万人(▲33%)、一方、長崎県では更に深刻で143万人が78万人(▲45%)になると予想されている。労働力の低下と人口減が同時に発生し、国内そして県内市場の縮小は避けがたい状況となっている。新興国諸国、中国、そして今後は特にASEAN諸国では、今後人口増とともに急速な経済成長が予測され、コロナ禍にも拘わらず市場性が期待されている。日本経済、特に人口減少および高齢化率が顕著な本県に取って、県内企業のアジア等への海外進出が地方経済創生の鍵を握っていると言っても過言ではない。 中小企業白書2016によるとわが国の輸出企業7225社のうち約90%の6397社が中小企業であるが、輸出額に関しては、わが国年間輸出額56.8兆円のうち中小企業の占有率はわずか6%である。また、この中小企業のなかでの輸出企業数6397社も中小製造業のなかで3.5%に過ぎず、中小企業全体数381万社に対しては、0.16%に過ぎないのである。 一方で、大企業も含めた我が国の海外進出企業の約4割が撤退ないし撤退を検討したことがあるとした調査 や輸出を開始しても3割の中小企業では売上高の増加につながって いないとした調査 もある。  つまり、資金や人材を始めとした経営資源に制約が大きい中小企業の海外展開での成功はそう容易ではなく、安易な挑戦は回避するべきとの政府報告もある(柿沼、東田、2016)。加えて、アジア諸国に進出している小規模サービス産業である各種の飲食店の詳細データに関しては、バンコクのJETRO事務所や金融機関現地事務所等の関係者からヒアリングした限りでは、進出する小規模企業数も確かに多いが撤退する小規模企業・店舗も相当数になるとのことであった。 これらを踏まえ、県内企業・行政機関へのインタビューおよび社会人大学院生への講義アンケートを通して、地方企業の海外進出延いてはグローバル展開を成功裡に導くことを阻む障害とは何かを考察することにより、その現状と課題を読み解き述べることが本研究の目的である。
キーワード: 海外展開やDXを担う人材
戦略的なビジネスモデル
事業スキーム
産官学一体
URI: http://hdl.handle.net/10561/1775
出現コレクション:R2 佐世保校

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